売り手市場を、売り手にとって売却交渉上有利な市場、買い手市場をその逆であると定義するとするなら、コロナの影響によって買い手市場になったと私は思いません。
コロナの影響で譲渡案件は増えていますし、今後も増えるという事は言えるかもしれません。その中で、業績不振を理由に譲渡を検討する案件に関しては、おっしゃる様に買い手側が交渉優位な案件であると言えるかもしれません。
しかし、大手専門会社などが受託をする譲渡案件というのは、びっくりするぐらい財務内容が良い会社が大半です。そういった財務内容の良い、地場の銀行からは優良企業と認識される中小企業においては、資金的に余力が無いというケースは皆無に等しいです。故に、外部環境が悪い時に敢えて売り急ぐという必要は無いのです。よって、大手の受託案件の大半を占める優良企業に関して言えば、引き続き売り手市場であると言っても過言では無いのでは無いかと私は考えます。
一方、ここ数年、譲渡案件数が増加した為、そもそも従来より買い手市場になっているという話も聞きます。そう言った傾向はあるのかもしれません。そこにコロナという外部環境の悪化を背景として買い手市場に傾いているというのも、ある意味事実であると言えるかもしれません。
が、再三申し上げますが、交渉とはNOと言える方が強いものです。こう言った状況下であっても譲渡という意思決定に際して余裕がある会社は交渉力が強いのが事実であり、一概に売り手市場だ、買い手市場だという事はできないと私は考えています。