嬉しいご質問ですね。
自分もキャリアが長くなってきましたので、感動する事が減ってきてはいるとはいえ、すごいベタな言い方ですが、「お客さんに涙を出して喜んでいただいた瞬間」は今でも感動します。
M&Aのディールというのは、受託から成約まで約1年の期間を要します。そして私が一線でディールを担当していた頃というのは、何がなんでもその案件を決めるという強い気持ちで仕事をしていました。
要はあらゆる事態を想定しながら、必ず案件を決めるという覚悟で仕事をしていたのです。
一方、その仲介者としての強い決意が経営者の利益とは必ずしもベクトルが合わないと感じる事も多く、こういった立ち位置の仕事を始めたという事はあります。
M&Aのディールにおいて、仲介者に求められるスキルセットには、「共感力」というものがありますが、コレだけではディールを前に進める事ができません。
時には案件をまとめるために、売り手、買い手どちらかの要望を強く跳ね除ける勇気が必要な時はありますし、できないことはできないとはっきりと具申する事も求められます。
単にいい人ではディールはまとまらないし、一者、二者ではなく多次元の利害関係をまとめるという作業は、本当にサイコパス的な立ち回りが求められます。
それでも私も人間です。
お客さんから涙を流して喜んでいただけるような仕事をした時は本当にこの仕事にやりがいを感じます。あとは涙を流さないにしても、私個人という人間を信用して取引をいただけている時、そういった時には強いやりがいを感じますし、その気持ちに応えたいと思いますね。