どれだけ経営状態がよく、素晴らしい理念を持って経営している企業であっても、事業承継がうまくいかない事は経営者の悩みの中でも大きなウエイトを占める一つであろう。
地方に行けば行くほど、同族承継に対するバイアスの強い会社は多い。事業承継の目的とはなんだろうか。オーナー一族としては、その最大とも言える自社株式という資産を子へ承継していく事を意味するのかもしれない。
しかし、一定規模の会社となった場合、もはやそれはその一族の所有物ではなく、社会的公器というレベルにまで昇華しつつある中堅中小企業も多いのでは無いだろうか。
一方、資本主義である以上、その会社の株主がオーナー一族である以上、その所有権はオーナー一族に属する。
同族承継は、本当に難しい選択だと思う。承継をする相手、すなわち一般的にはオーナー経営者の子に経営者としての資質が備わっている場合には、何の問題もなく同族承継を選択できよう。
一方、オーナー経営者の子息がそういった資質を有していないケースの場合、会社の存続や発展を目的として事業承継問題の解決を図ろうと思うならば、他の選択肢を検討するというのが正しい経営判断であろう。
第46話の事案においては、同族承継が客観的に見るとどう考えても問題があるケース。実話に極めて近い内容をお伝えしている。