第37話は「第15話 株式の買い集め」とオーバーラップする話となった。なぜかというと、こういった事案に立て続けに対応する事があった為で、再度中堅中小企業経営者の皆様に、自社株式の買取時、移動時の価格について注意を促したいと思い、しつこい様ではあるが株式の取り纏め時の株価は、税理士へ相談をして適正な株価での買い取りを徹底願いたい。
信じられないかもしれないが、自社の株式価格は簿価であり、簿価で買い取ればそれで事が済むという認識の経営者が案外多く存在する。
具体的にどういった手続きに基づいて株式の買い取りをすれば良いかという事であるが、都度税理士に相続税評価なりの価格算出を依頼し、そのエビデンスに基づいて取引をするのがよかろうと思う。
ちなみにこちらは豆知識となるが、一概に、どの金額で何%であれば低額贈与にあたるか、あたらないかを決めることは非常に難しい。だが、不動産において、時価の80%で夫から妻と子に売却した場合に、その差額の20%に対して贈与税がかけられたのは無効であるという判例が存在する。
妻と子の訴えによって東京地裁により東京国税局の課税が取り消し処分となり、著しく低い価格の譲渡にはあたらないと判断され贈与税の課税処分が取り消されたことがある。このときの価格が、80%であったことは頭の片隅に入れておいても良いだろう。