会社買収を実行する前に絶対に知っておくべきこと②

M&Aコラム

会社買収を実行する前に絶対に知っておくべきこと②

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さて、前回ではアドバイザーへの依頼からトップ面談終了までについて言及した。トップ面談が終了とすると、次のイベントは、「基本合意契約締結」である。基本合意契約は、売り手と買い手が交わす最初の契約の事で、これを締結する事で、一定期間(概ね3ヶ月が一般的)売り手は買い手に対して、独占交渉権を付与する事となる。

では、基本合意契約とはどのような取り決めがなされるのであろうか。一般的には、株価の総額(既に退職金との内訳まで固まっている場合は、より詳細に記載する)、独占交渉権の付与、買収監査の日程、基本合意契約後経営に大きな変更を加えない事、等の内容が記載される。

一方、これは最終合意ではないので、あくまでも仮の契約となる。一方、仮の契約とはいえ、出来る限り論点を詰めておいて最終契約書に近いものを作り込んでおく事で、基本合意契約以降の手続きがスムーズとなる。

また、この基本合意契約のおける契約書締結は、一般的に持ち回りで押印を済ませる事となり、実務的には同時並行的に買収監査日を決定し、それまでに基本合意契約書締結を済ませるという事が多い。

さて、買収監査であるが、中堅中小企業における買収監査は大半が、財務DDである。顧問税理士や専門の会計士に買い手が依頼して、主に決算書や試算表に記載の情報と実態にズレが無いかを確認する。もし買収監査時に不良資産や簿外債務が発覚した場合は、基本合意時の株価から株価を減額できる可能性はある。

一方、これはあくまでも減額の理由ができるだけの話であって、売り手がその減額を飲まなければ、どれだけ買収監査で粗を探したところで、希望の条件で合意できない。

買い手側は、その真理を理解した上で基本合意契約を締結するべきだし、価格交渉をするにあたってもその事を念頭に入れておくべきである。

さて、買収監査が終了し、その後は最終契約締結までの最終調整となる。買収監査で指摘が入った内容を踏まえて最終契約書の草案をアドバイザーが作成し、交渉の経緯を細かく契約書に落とし込む事で調整がなされていく。中堅中小企業のM&Aにおいては、アドバイザーが作成した契約書をそのまま特に指摘を入れず最終契約締結まで進むケースも少なく無い。

アドバイザーが行う業務は、あくまでも契約書の草案の作成、である事が一般的である。

草案を元に、最終的な判断は契約当事者が行い、契約を締結するのである。大手専門会社の契約書雛形は、売り手の表明保証条項がしっかりと織り込まれており、契約書草案としては実務の要請に十分応えるものであると私は考えるが、であったとしても別の目を入れるという点で弁護士に契約書チェックはさせておく方が無難である。

また、この時に重要なのは契約の内容や交渉の経緯を熟知している人間と弁護士でミーティングを持つという事であると私は考える。大半の事案が、仲介者やアドバイザーを交えての最終契約書チェックがされていないように思うが、M&Aの契約内容など、途中の経緯を理解していないと正しい判断を下すことは不可能である。それが無ければ一般的な指摘を受けて、高額のフィーがチャージされる事が関の山であろう。

最終契約締結においては、買い手側は、資金決済前に一定の条件を売り手に求めるケースがある。クロージング条件といわれるものであるが、それが充足される事を条件として資金決済するという契約形態である。肌感覚では8割がクロージング条件無しで契約と同時に資金決済がなされていると思うが、買い手のリスクをヘッジする上ではクロージング条件を上手く活用していきたいものである。

さあ、最後は資金決済である。当日バタバタしないように、事前に振り込み手続き等の準備を行おう。金融機関などが仲介者やアドバイザーに入っている場合は、このあたりの対応は非常にきめ細やかに行われる。

株式譲渡契約書の押印と資金決済を持って株式譲渡契約自体は契約が履行され、株式の所有権は売り手から買い手へ移転する。

一方、その後、代表者変更であるとか、それに伴う商業登記、株主名簿の書き換え、役員の辞任、臨時株主総会による新任役員の選任、などの細々とした手続き(あるいは譲渡前の譲渡承認請求、それに係る臨時株主総会あるいは取締役会の決議関係、譲渡承認通知など)は、仲介者やアドバイザーが全て手配してくれる。この中で登記が絡むのが代表者変更であるが、これは司法書士が対応する。その手配についても通常仲介者やアドバイザーが手配する。

資金決済後も実は細々とした手続きがかなりたくさんある。例えば、役員報酬を支給していたとして、それをいつ締でいつまで支給するか、法人のクレジットカードの利用範囲はどうするか、このレベルの事までは契約書に織り込まない事がほとんどであり、かつ譲渡後に売り手と買い手が協議により整理していく事が多い。仲介者やアドバイザーの役務提供は、契約・資金決済で役務提供完了であるから、いつまでも面倒を見てはくれない。

特に、会社の資産と個人の資産が混在している様なケースにおいては、M&A後は個人部分と法人部分を明確に切り分けるべきであり、こういった論点は早めに整理しておく事が本来的には望ましい。が、全てを網羅することは難しく、譲渡後に対応が迫られる事が多いのも事実である。あまり全てをカチッとやり切ろうと思うとしんどくなる。常に状況に応じて臨機応変に対応する事が重要である。

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会社買収を実行する前に絶対に知っておくべきこと②

さて、前回ではアドバイザーへの依頼からトップ面談終了までについて言及した。トップ面談が終了とすると、次のイベントは、「基本合意契約締結」である。基本合意契約は、売り手と買い手が交わす最初の契約の事で、これを締結する事で、一定期間(概ね3ヶ月が一般的)売り手は買い手に対して、独占交渉権を付与する事となる。

では、基本合意契約とはどのような取り決めがなされるのであろうか。一般的には、株価の総額(既に退職金との内訳まで固まっている場合は、より詳細に記載する)、独占交渉権の付与、買収監査の日程、基本合意契約後経営に大きな変更を加えない事、等の内容が記載される。

一方、これは最終合意ではないので、あくまでも仮の契約となる。一方、仮の契約とはいえ、出来る限り論点を詰めておいて最終契約書に近いものを作り込んでおく事で、基本合意契約以降の手続きがスムーズとなる。

また、この基本合意契約のおける契約書締結は、一般的に持ち回りで押印を済ませる事となり、実務的には同時並行的に買収監査日を決定し、それまでに基本合意契約書締結を済ませるという事が多い。

さて、買収監査であるが、中堅中小企業における買収監査は大半が、財務DDである。顧問税理士や専門の会計士に買い手が依頼して、主に決算書や試算表に記載の情報と実態にズレが無いかを確認する。もし買収監査時に不良資産や簿外債務が発覚した場合は、基本合意時の株価から株価を減額できる可能性はある。

一方、これはあくまでも減額の理由ができるだけの話であって、売り手がその減額を飲まなければ、どれだけ買収監査で粗を探したところで、希望の条件で合意できない。

買い手側は、その真理を理解した上で基本合意契約を締結するべきだし、価格交渉をするにあたってもその事を念頭に入れておくべきである。

さて、買収監査が終了し、その後は最終契約締結までの最終調整となる。買収監査で指摘が入った内容を踏まえて最終契約書の草案をアドバイザーが作成し、交渉の経緯を細かく契約書に落とし込む事で調整がなされていく。中堅中小企業のM&Aにおいては、アドバイザーが作成した契約書をそのまま特に指摘を入れず最終契約締結まで進むケースも少なく無い。

アドバイザーが行う業務は、あくまでも契約書の草案の作成、である事が一般的である。

草案を元に、最終的な判断は契約当事者が行い、契約を締結するのである。大手専門会社の契約書雛形は、売り手の表明保証条項がしっかりと織り込まれており、契約書草案としては実務の要請に十分応えるものであると私は考えるが、であったとしても別の目を入れるという点で弁護士に契約書チェックはさせておく方が無難である。

また、この時に重要なのは契約の内容や交渉の経緯を熟知している人間と弁護士でミーティングを持つという事であると私は考える。大半の事案が、仲介者やアドバイザーを交えての最終契約書チェックがされていないように思うが、M&Aの契約内容など、途中の経緯を理解していないと正しい判断を下すことは不可能である。それが無ければ一般的な指摘を受けて、高額のフィーがチャージされる事が関の山であろう。

最終契約締結においては、買い手側は、資金決済前に一定の条件を売り手に求めるケースがある。クロージング条件といわれるものであるが、それが充足される事を条件として資金決済するという契約形態である。肌感覚では8割がクロージング条件無しで契約と同時に資金決済がなされていると思うが、買い手のリスクをヘッジする上ではクロージング条件を上手く活用していきたいものである。

さあ、最後は資金決済である。当日バタバタしないように、事前に振り込み手続き等の準備を行おう。金融機関などが仲介者やアドバイザーに入っている場合は、このあたりの対応は非常にきめ細やかに行われる。

株式譲渡契約書の押印と資金決済を持って株式譲渡契約自体は契約が履行され、株式の所有権は売り手から買い手へ移転する。

一方、その後、代表者変更であるとか、それに伴う商業登記、株主名簿の書き換え、役員の辞任、臨時株主総会による新任役員の選任、などの細々とした手続き(あるいは譲渡前の譲渡承認請求、それに係る臨時株主総会あるいは取締役会の決議関係、譲渡承認通知など)は、仲介者やアドバイザーが全て手配してくれる。この中で登記が絡むのが代表者変更であるが、これは司法書士が対応する。その手配についても通常仲介者やアドバイザーが手配する。

資金決済後も実は細々とした手続きがかなりたくさんある。例えば、役員報酬を支給していたとして、それをいつ締でいつまで支給するか、法人のクレジットカードの利用範囲はどうするか、このレベルの事までは契約書に織り込まない事がほとんどであり、かつ譲渡後に売り手と買い手が協議により整理していく事が多い。仲介者やアドバイザーの役務提供は、契約・資金決済で役務提供完了であるから、いつまでも面倒を見てはくれない。

特に、会社の資産と個人の資産が混在している様なケースにおいては、M&A後は個人部分と法人部分を明確に切り分けるべきであり、こういった論点は早めに整理しておく事が本来的には望ましい。が、全てを網羅することは難しく、譲渡後に対応が迫られる事が多いのも事実である。あまり全てをカチッとやり切ろうと思うとしんどくなる。常に状況に応じて臨機応変に対応する事が重要である。